今週のニュースは、アプリ外販売を巡る議論の核心に位置する。英国の裁判所は、最大30%のアプリストア手数料を最終的に利用者が負担しているのか、公開審理で検討を始めた。今回の裁判は、同じ収益構造に対する規制当局の対応や和解が相次ぐなかで開かれており、パブリッシャーがストア手数料への監視強化の方向性を見極める材料となる。

グーグル、最大30%のPlay Store手数料を巡り争う 英国で10億ポンド超の集団訴訟

Google Playの手数料を巡り、グーグルに10億ポンド(約13億ドル)を超える賠償を求める集団訴訟の審理が、2026年10月6日にロンドンの競争審判所で始まった。

消費者代表のリズ・コル氏が提起した訴訟で、英国の消費者と企業約2000万者が対象となる。対象期間は2015年10月1日から2026年7月31日まで。Google Playを通じた有料アプリ、アプリ内・ゲーム内の追加購入、サブスクリプション、アップグレードなどを含む。

原告側は、グーグルが支配的な地位を乱用し、開発会社に最大30%の手数料を課したと主張する。その負担が価格を通じて利用者へ転嫁されたとしている。

審理期間は7週間で、2026年11月20日まで続く予定となる。対象となる消費者と企業は費用負担なく自動的に集団訴訟へ含まれる。訴訟費用はVannin Capitalが提供し、保険も付いている。

グーグルの広報担当者は、この訴訟がAndroidで利用者に提供されている選択肢を考慮していないと反論した。同社が徴収する手数料は「市場で最も低い水準の一つ」と説明し、Google PlayはアップルのApp Storeとの競争にも直面していると主張した。

今回の裁判に先立ち、グーグルとEpic Gamesは2026年3月、決済手段の拡大と開発会社向け手数料の引き下げを盛り込んだ世界規模の和解に合意した。

欧州委員会も同年7月、利用者をアプリストア外の決済へ誘導する行為への制限などを理由に、グーグルへ約10億ドル(8億9000万ユーロ)の制裁金を科している。

注目点

今回の裁判では、最大30%のストア手数料が具体的にどの程度の損害を生んだかが問われる。手数料の負担が最終的に利用者へ転嫁されるとの主張も、法廷で検証される。これは、パブリッシャーがアプリ外の販売チャネルを構築する経済的な根拠と直接関係する論点となる。

ストア手数料への圧力は、特定の国や一つの規制機関に限られず、英国の裁判所、EUの規制当局、Epic Gamesとの和解を通じて同時に強まっている。

パブリッシャーにとっては、時間がかかり、結果も不確実な裁判を待つより、ウェブショップや外部決済への導線を準備し、ストア外販売の採算性を検証する根拠が強まっている。

出典

まとめ

今週の動きから、アプリストアの手数料を巡る収益構造が、英国の裁判所、EUの規制当局、Epic Gamesとの和解を通じて同時に見直されていることが分かる。個々の手続きが決着するまでには時間がかかるものの、ストア手数料への監視は強まる方向にある。

パブリッシャーは、裁判の結論を待たずに、自社チャネルを通じて利益率の改善を目指すことができる。実務上の焦点は、国をまたぐ税務、決済に関する法令順守、不正対策など、DTCチャネルの運用負担に対応できるかどうかとなる。

販売事業者(マーチャント・オブ・レコード、MoR)は、こうした業務と責任の一定部分を担う。これにより、ストア手数料を巡る法的手続きと、パブリッシャーがアプリ外販売へ移行する判断を、それぞれ異なる時間軸で進められる。