今週もアプリストア決済への規制圧力が強まった。韓国は2021年の法改正後、初の執行措置を発動し、台湾ではアップルが手数料率を引き下げた。一方、中国のゲーム会社が公表した決算資料からは、ヒット作品の課金額の多くが自社チャネルを通じて処理されている実態が明らかになった。外部決済と自社決済は、市場ごとに異なる速度と条件で拡大している。

韓国、アップルとグーグルに計637億ウォンの制裁金 外部決済を認めるよう命令

韓国メディア通信委員会(KMCC)は2026年10月28日、電気通信事業法に違反したとして、アップルとグーグルに計637億ウォン(約4760万ドル)の制裁金を科した。内訳はアップルが208億1000万ウォン(約1550万ドル)、グーグルが429億ウォン(約3200万ドル)となる。KMCCは、両社が第三者の決済手段に26%の手数料と追加の制約を課し、開発会社に自社のアプリ内課金を事実上強制したと判断した。明確な理由や期限を示さず、アプリ審査を遅らせたことも問題視した。

アップルについては、2015年7月から2023年1月まで、韓国の開発会社には付加価値税(VAT)込みの価格を基準に30%の手数料を課す一方、海外の開発会社にはVATを除いた価格を基準に手数料を請求していた点も指摘された。

両社には、外部決済を利用できるよう方針を改定し、アプリ審査の手続きを改善するよう命じた。KMCCは、今回の措置を2021年の法改正後初の執行事例と位置づけている。アップルとグーグルは10月29日、判断に同意できないとし、今後の対応を検討していると表明した。

注目点

韓国の規制当局が両プラットフォームに外部決済を認めるよう命じ、外部決済に課す26%の手数料を譲歩ではなく制約と判断した点に注目が集まる。韓国の利用者をアプリ外決済へ誘導できる法的余地が広がる可能性がある。

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Perfect World、自社PC・Android版でヒット作課金額の約6割を処理

中国のゲーム会社Perfect Worldは2026年10月29日に公表した同年7~9月期の報告書で、オープンワールドRPG「NTE: Neverness to Everness」の世界累計総収益が27億元(約640億円)を超えたと明らかにした。同作品は2026年4月に配信を開始し、海外売上高が中国国内を上回っている。

10月28日時点で、累計課金額の約60%が公式PC版と公式Android版を通じて処理された。同社は中国と海外の大半の地域で、同作品を自社配信している。

2026年1~9月期のゲーム事業売上高は前年同期比7.09%増の47億9000万元(約1136億円)となり、同事業の粗利益率は4.5ポイント上昇して73.79%に達した。7~9月期では、売上高が36.85%増え、株主に帰属する純利益は211.47%増加した。

注目点

大規模なヒット作品でも、自社PC版と独自のAndroid流通を主要な決済経路として活用し、累計課金額の過半を処理できることを示す具体的な事例となる。海外市場を含め、自社チャネルが補助的な販売経路ではなく、収益の中核を担える可能性が数字に表れた。

一方、利益率の向上には、販売地域ごとの決済、税務、返金、不正対策、顧客対応を自社または外部の事業者が担う必要がある。課金額を自社チャネルへ移す前に、こうした運用負担を含めて設計することが重要となる。

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アップル、台湾のApp Store手数料を30%から26%へ引き下げ

アップルは2026年10月29日、台湾のiOSおよびiPadOS向けApp Storeで、有料アプリとアプリ内課金に適用する標準手数料率を30%から26%へ引き下げると開発会社に通知した。新しい料率は10月31日から適用される。同社は、台湾公平交易委員会との協議を受けた変更と説明した。開発会社は、10月31日までに改定後の条件へ同意しなくても、引き下げ後の料率を受けられる。

アップルはDeveloper Program License Agreementも更新した。翻訳版は約1カ月以内に公開する予定となる。

今回の対応は、EU、日本、ブラジル、オーストラリア、韓国で規制当局や裁判所がApp Storeの条件を見直すよう求める動きが続くなかで実施された。ただし、台湾の変更は標準手数料率の引き下げに限られ、外部決済や代替アプリ流通を認めるものではない。

注目点

4ポイントの引き下げにより、台湾ではApp Store決済とアプリ外決済のコスト差がやや縮小する。開発会社による手続きは不要で、App Store内の売上について自動的に利益率の改善が見込める。

一方、台湾では外部決済が開放されたわけではない。当面は手数料率を引き下げたApp Store内決済市場として収益を試算し、台湾公平交易委員会が今後、韓国、EU、日本と同様に外部決済の開放まで求めるかを注視する必要がある。

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まとめ

今週の動きは、アプリ外決済への移行が市場ごとに異なる段階で進んでいることを示した。韓国では外部決済リンクの許可と制約の是正が命じられ、自社チャネルを活用しやすい環境が一段と前進した。台湾はApp Store手数料の引き下げにとどまるものの、パブリッシャーの収益改善に向けた初期的な変化と位置づけられる。Perfect Worldの実績からは、市場環境が整えば、自社流通が世界的なヒット作品の課金額の過半を担える可能性も確認できる。

焦点は、アプリ外決済を導入するかどうかではなく、各市場でどの経路を選び、どの程度の取引を移すかに移りつつある。パブリッシャーは、国・地域ごとの手数料、税務処理、必要な権限、アプリ審査上の負担を整理し、決済経路ごとの採算性を検証する必要がある。

外部決済を認める市場が増えるほど、国境をまたぐ税務と法令順守への対応も複雑になる。販売事業者(マーチャント・オブ・レコード、MoR)を活用することは、こうした負担を吸収する方法の一つとなる。当面は、市場ごとの手数料、税務上の取り扱い、利用条件を一覧化し、常に最新の状態へ更新することが重要となる。